前線からプレスをかけなかったアーセナル
少なくとも、バルセロナに勝つ方法はあるにはある。今季、リーグ戦、CL、コパ・デル・レイを通してバルサは2敗を喫している。わずか2敗だが、セルタとセビージャを相手に敗れたいずれの試合も偶発的な敗戦ではなく、戦術的な部分で相手にはめられてのものだった。
チャンピオンズリーグベスト16、1stレグ。アーセナルはホームにバルセロナを迎えた。アーセナルもバルセロナと対戦するにあたって、明確なプランを持って準備をしてきていた。
アーセナルは、バルセロナの支配力に対抗するためにとった策は、前からプレスをかけるのではなく、中盤から最終ラインにかけてスペースを埋め、パスコースを消すことでミスやボール奪取のチャンスを狙いカウンターを仕掛けるというもの。いわば、「バルサは持たされている」という状況を作り出すことを狙っていた。
実際、序盤にはこれは上手くはまっていた。前半の45分間でバルサは70.2%:29.8%と支配率では大きくアーセナルを上回った。その一方で、ショート数は4本:4本、チャンスメイク数は3回:2回でわずか1回上回ったにすぎなかった。
ただ、同時にアーセナルはバルセロナと対戦する際に最もやってはいけないことをやっていた。アーセナルの前線に位置するジルー、さらにはトップ下のエジル。この2人はバルサのCB、ピケとマスチェラーノに対してあまりプレスをかけることなかった。
序盤こそプレスをかける姿勢は見せていたが、時間の経過とともに足が止まり、例えばテア・シュテーゲンによるゴールキックからのリスタートという場面では、テクテクと歩きながら下がっていた。