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バルサが失った支配力。降格圏の昇格組相手の苦戦は“ピッチ上の指揮官”不在にあり

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

格下に苦戦もアーセナルとの次戦には不安なし?

オリヴィエ・ジルー
CLでバルセロナと対戦するアーセナル【写真:Getty Images】

 例えば、ブスケツであれば中盤が機能していない状況と判断すると、ある程度長い距離のパスで前線の3人に直接ボールを送るなどスタイルを切り替えるはず。しかし、セルジ・ロベルトはロングパスを1本しか出さず、近場の選手にパスを出すプレーに終始。状況を打開する存在と離れず70分に交代となった。

 とはいえ、ブスケツのようなプレーを実際に体現するのは、かなりハイレベルなことなので致し方ない部分はある。セルジ・ロベルトが最も輝けるのは右SBだと考えられるが…。

 中盤を封じられ支配力が低下したバルサは、シュート数16本(ラス・パルマス):13本、チャンスメイク数10回:9回といずれも下回る数字となっていた。降格圏に沈む昇格組相手とは思えないスタッツといえるだろう。

 ただ、それでもスアレスとネイマールという決めるべき選手が決めて勝ち点3を手にしたという結果は、やはり強者であることの証でもある。逆にラス・パルマスにとっては、限りなく大金星に近づきつつありながら何も得られなかった一戦となってしまった。

 バルセロナの次戦はアーセナルとのチャンピオンズリーグ、ベスト16。単純な実力でいえばラス・パルマスの数倍上だが、アーセナルがリーガのチームのように相手の長所を潰すための戦術的な柔軟性を持っているとは考えにくい。CLをきっかけにバルサの状態が上向くというのも十分にあるだろう。

【了】

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