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リークによる“情報公開”がサッカー界にもたらす混沌。“暴露サイト”と流出元が語る問題の本質

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

鍵となる「第三者による選手の経済権保有」

ストーク・シティのジャネリ・インビュラ。マルセイユ時代からその才能は高く評価されていたが、移籍の際についた“値段”については疑問の声もあがった
ストーク・シティのジャネリ・インビュラ。マルセイユ時代からその才能は高く評価されていたが、移籍の際についた“値段”については疑問の声もあがった【写真:Getty Images】

 彼らのコメントを記す前に、この問題の理解に必要と思われるトピックについて、おさらいしておきたい。

 2014年、FIFAは「第三者による選手の経済権保有」(以下TPO: Third-party ownership of players’ economic rights)を禁止すると発表した。“FL問題”の根幹にはこのTPOがある。

 一般的に、クラブがある選手と契約を結ぶ際には、協会登録権(federative rights)と経済権(economic rights)が発生する。そして肖像権は、これとは別個に存在する。

 協会登録権は表現通り、選手をプレーさせるために、クラブがその選手をサッカー協会に登録する権利である。いっぽう経済権は、選手が次に移籍する際に発生する移籍金を得る権利だと思ってしまえばわかりやすい。

 従来は、この経済権を部分的に投資ファンドが保有しているケースがあった。選手Aの獲得を狙うも資金不足の状態にあるクラブが、選手Aの経済権を一部譲与することと引き換えに、投資ファンドに費用補填をしてもらう、というモデルである。これがサッカー界においてTPOと言われているものだ。

 投資ファンドのほうは、選手の獲得資金を支援し経済権を得ることで、その選手が次に移籍した際に、移籍金の一定割合を得ることができる。

 資金不足のクラブは不足分を賄え、ファンドは経済権の獲得により利益を生むことができる。一見したところ、両者はWIN-WINの関係を築いているように見えるが、事はそう単純ではない。

 経済権を取得した投資ファンドは、選手が高額の移籍金で移籍することにより、投資の見返りを得ることができる。要は選手が移籍してくれないとリターンがないのだ。そしてこの投資ファンドの筆頭とみなされているのが、件のドイエンだ。

 2015-16シーズン冬の移籍市場では、珍しい移籍劇があった。2015年夏に推定2000万ユーロの移籍金でマルセイユからポルトに移籍していたジャネリ・インビュラが、ポルト加入から約半年後の2016年1月に、推定2400万ユーロの移籍金でストーク・シティに移籍したのだ。

 ポルトでそれほど際立った活躍を見せていなかったにもかかわらず、インビュラの移籍金が吊り上ったということについては疑問の声もあがった。バルセロナの「スポルト」は、この移籍について「奇妙な売却」という見出しをつけ、ドイエンが移籍を主導したことを疑っていた。

 このほかドイエンがらみでは、ポルトからアトレティコ・マドリーを経てモナコに移籍したラダメル・ファルカオの案件も有名な事例として挙げることができるだろう。

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