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不振のFW、負傷のMF、謹慎処分のDF。チェルシー戦の勝利でPSGは“不安材料”を払拭か

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

不振にあえいでいたカバーニの復活弾

第1戦の決勝点を奪ったカバーニ
第1戦の決勝点を奪ったカバーニ【写真:Getty Images】

2.カバーニの値千金追加点

 パリではほとんど「お約束」状態のカバーニ批判。

 今季リーグ戦ではこれまで11得点と著しく少ないわけではないのに、21点をあげているイブラと比較されるのか、「インパクト不足の影の薄いストライカー」のレッテルを貼られがちだ。

 イブラを休ませ、彼が先発フル出場した3日前のリール戦でも0-0のスコアレスドロー。今季のPSGにとって、相手ゴールを破れなかったのはこの試合の他には12月のアンジェ戦だけだが、こちらもイブラ不在でカバーニがエース、という屈辱的な結果も出してしまっている。

 CLでも今季は9月15日のGS初戦対マルメ戦での1点のみで、ブラン監督も「彼に自信を取り戻させるためにみなでヘルプしなくては……」と漏らしていた。

 その彼が、後半70分、ルーカスに代わって投入されると、わずか数分後に貴重な勝ち越しゴールを奪った。

 ケーヒルとイバノビッチの守備壁のやや後方にいたカバーニは、ディ・マリアが瞬時の好判断で出したクロスに反応して一気に飛び出すと、右ポスト近くの角度のない位置から豪快なシュートを放った。まさに、カバーニ真骨頂の“マタドール・シュート”。

 ウォーーー!と雄叫びをあげながらベンチ近くまで猛ダッシュしたゴールセレブレーションが、彼の苦悩を物語っているようだった。

「自分にとってこれはとてつもなく大事なゴール。ストライカーはゴールを決めるために存在する。そしてゴールをあげることで息を吹き返す。ここ最近は辛い時期だったが、状況を変えようと努力を重ねてきた」という言葉にも、実感がこもっていた。

 彼が不振にあえぐ間にパフォーマンスをメキメキ上げているルーカスがこの日も先発起用され、スピードで前線をかき乱しては、イブラの先制点のきっかけとなるFKもゲットしていただけに、フィニッシャーとして結果を出すことができたのは、カバーニ本人にもチームにとってもこの上なく大きい。

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