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危険な2-1。試合を支配したPSGに対するチェルシーの処世術。“レアな1点”が意味するもの

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

2-1というスコアの難しさ

 結局は後半の45分間もPSGが支配率68%:32%、パス成功数312本:133本、チャンスメイク数8回:6回、シュート数12本:6本と攻撃面のすべてで大きく上回った。試合も途中出場のエディンソン・カバーニが78分にゴールを決めて2-1と勝利を手にしている。
 

 2-1。このスコアが何を意味するのか。昨シーズンのベスト4までのスコア別通算勝敗では、初戦ホームを2-1で制したチームの勝ち抜けは12勝10敗。過半数は超えているものの、確率はわずか54.5%。全スコアパターンの中で勝利チームにとって最も低い確率であり、PSGにとっては決して勝利を喜べるスコアではないだろう。

 前述の通り、後半にカバーニの1ゴールで勝利は挙げたが、45分間で1点どまりとも考えられる。オプタのデータをもとにしたレーティングでは、PSGが6.48だったのに対してチェルシーは6.69。敗戦チームの方が高い評価を得ている。

 なぜ2-1というスコアが最も難しいのか。スタンフォード・ブリッジでの2ndレグ、アウェイゴールを持ったチェルシーは1点を取って勝つ以外方法はないため、やるべきことが明確となる。

 一方でPSGは前に出るべきか引くべきか明確なプランと強い確信を持ってチーム全体の意識を統一させなければならない。立場変わってアウェイチームとしてこれを90分間徹底させるのは、何よりも難しいこと。

 そして、このPSG対チェルシーというカードは、過去2シーズンともにアウェイゴールが明暗を分けるポイントとなっている。前半アディショナルタイムにミケルというスコアラーとは真逆の選手が挙げた1点に、チェルシーというチームの処世術があるのかもしれない。

【了】

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