『ボールとスペースを支配する』サッカーは可能性も感じさせたが
柏のアカデミーを国内屈指の強豪に成長させただけでなく、ボールを支配しながら勝利を目指すスタイルを植え付けた吉田氏の手腕は以前から評価されてきた。そして昨季、クラブは満を持してこの青年監督にトップチームの指揮を任せた。
アカデミー出身の選手が多数おり、吉田氏の薫陶を受けた選手が揃うチームは大きな期待を寄せられて開幕を迎えた。
『ボールとスペースを支配する』を合言葉に後方からの丁寧なビルドアップで攻撃を構築。縦パスをスイッチに相手ゴール前へ侵攻するなど、破壊力を示した試合もあった。
だが、このスタイルがシーズンを通して機能したとは言えず、下位に沈む時期もあった。それでもこの1年は産みの苦しみとして割り切っても良かったはずだ。選手たちはこのサッカーにやり甲斐を感じていた。また、国内リーグでは振るわなかったもののアジアチャンピオンズリーグでは他のJリーグ勢が苦戦する中で、柏は安定した力を発揮した。ベスト8で敗れはしたが、その成績は評価されるべきだ。
それでも、クラブは1年での監督交代に踏み切った。天皇杯準決勝で浦和レッズに敗れ、柏と吉田氏の2015シーズンが終わりを迎えた。
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