「他にはいない。本当に。なんと言っても香川」
ハノーファー戦の中でも、香川は“違い”を生み出せていたという。
「確かに生み出せていた。だけど、今後比較しなきゃいけないのは、マタだったり、チアゴだったり。ビッグクラブでやるにはね」
玉乃は9日にドイツに入ると、10日にはDFBポカールの準々決勝、ボーフム対バイエルン・ミュンヘンに足を運んでいる。そこではペップ・バイエルンに衝撃を受けた。ノイアーの飛び出しに、ロッベンの速さに、そしてチアゴの存在に。
「そういう視点で見ると、少し劣っていた。絶対的な中心選手には、まだ成れてはいなかった。だからまだ成長の余地はある」
チアゴに有って、香川に無いものとは何だろうか。
「味方を動かす。チアゴも、マタも。チアゴ、マタが上がれって言ったら、サイドバックも上がってくるし。後はもう大事なところで点を取るか。最後は、なんだかんだ個。セスクだって点取るからね、めちゃくちゃ大事なときに。大事なときに、点を取る。それは日本代表にも言える」
玉乃がこうしたことを口にするのも、香川に“唯一の可能性”を感じ取っているからだ。チームを進化させる異質な存在として、ビッグクラブに行く可能性があるのは、日本人選手では香川だけだという。
「他にはいない。いない、本当に。香川、なんと言っても香川」
そうして今季の香川を振り返ると、「チアゴに有って香川に無いもの」を、少しずつではあるが、手にしつつあるのかもしれない。昨年11月8日の第12節シャルケ戦ではヘディングで先制点を奪い、12月5日の第15節ボルフスブルク戦では、後半のアディショナルタイムに決勝弾を決めた。
1月30日の第19節インゴルシュタット戦では、SBのドゥルムに「上がれ」と指示を出している。
だから6日の第20節ヘルタ・ベルリン戦でベンチ外になったことも、これからの可能性を考えれば、取るに足らないことなのかもしれない。