1人の年下の選手に目を奪われた玉乃氏
握手を交わすのは、2度目のことになる。2016年2月13日、ブンデスリーガ第21節、ボルシア・ドルトムント対ハノーファー戦が1-0で終わる。
試合後のミックスゾーンで、玉乃淳は、香川真司に握手を求めた。J SPORTSの解説者である旨を告げると、香川は爽やかに「いつも見ています」と握り返した。
話は、バイタルエリアでしんどいのはプレミアリーグとブンデスリーガのどちらか、といったテーマに及んだ。香川は「断然ドイツだ」と言う。玉乃はプレミアだと思っていた。しかし香川によれば、もちろんマンチェスター・ユナイテッドも相手に引かれるが、ブンデスの方が引かれて厳しいのだという。
玉乃が香川と最初に握手を交わしたのは、まだ現役のサッカー選手だった頃にまで遡る。J2の徳島ヴォルティス対セレッソ大阪の一戦で、ベンチから試合を見ていると、1人の年下の選手に目を奪われた。
「ベンチで見ていて上手過ぎて。とにかく無駄がなかった。両足使えて、シンプルに。途中交代で入って、そのままダッシュで香川君のところに行って。君上手いねって」
衝撃的だった。試合中にも関わらず、握手を求めた。以来、虜となった玉乃は、一線で香川を見たいという願いを抱き続けた。それは香川がマンチェスター・ユナイテッドにいた頃にも叶わず、遂に“一線の香川”を目にしたのが、この旅の終わりのドルトムントだったのだ。
久しぶりに目にした香川は、進化していた。
「明らかにたくましくなった。線も太くなったし、当たり負けしない、守備でもバッチリ行くっていう。いやもう、タフになっているよね。代表でも揉まれて」