スコールズとの関係でギグスにストレスを与えたくない

　それでもこのオランダ人監督はチームの浮き沈みを改善し、周囲の雑音――特に、かつてのチームのプレイヤーによるもの――が間違っていることを証明できると信じてやまない。

「バルセロナでは、ファンは非常に批判的だった。アヤックスもだ」、ファン・ハールは言う。

「アヤックスでの最初の年は、楽しいものではなかった。最終的にはUEFA杯を制したが、楽しいシーズンではなかった」

「レオ・ベーンハッカーから仕事を引き継いだところ、最初の三試合を落とした。そうしたらファンがなんと叫んでいたと思う？『クライフ』だ。一年続いたよ」

「こんなことにずっと対応してきた。バルセロナは非常に批判的な場所。結果もパフォーマンスも求められるんだから。イングランドでは、ポール・スコールズが一部のファンに影響を及ぼし始めたときに限っては、パフォーマンスよりも結果だね」

　スコールズがユナイテッドのフットボールを「退屈」と言ったことは、チームが最悪の状態だったことと相まって、観客席とクラブの逆鱗に触れた。

　だがオールド・トラッフォールドの元ミッドフィールダーと、クラブの助監督であるライアン・ギグスの親密な関係にもかかわらず、ファン・ハールはチームのNo.2に、スコールズとの間に立ってもらうように頼む必要はないと言い切る。

「必要ない。スコールズとの関係で、ライアンに余計なストレスを与える必要があるとは思えない」と彼は言う。

「私はキャリアのどんなことにも対応してきた。だから、ライアンに何かを言ってもらうよう頼むのは私のやり方ではない」

「スコールズが考えていることは、彼が考えてしかるべきことだ。誰でも自分の意見を言える。それについてどうということはないし、いいことだと思う。とはいえ、誰かにとってネガティブな空気を作り出すのは問題だ。彼はもっとポジティブになるべきだ」

　しかしながらユナイテッドがイングランドフットボールのリーダーとしての立場を取り戻すまでは、オールド・トラッフォードの監督席には、誰が座っていようと、批判と詮索が降り注ぐだろう。