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太田宏介、オランダで日々進化。新たな環境で得た技術と自信、飽くなき向上心でさらなる高みへ

text by 舩木渉 photo by Getty Images

“オランダ仕様の守備”がもたらした好影響

マッシモ・フィッカディンティ
FC東京時代、マッシモ・フィッカデンティ監督のもとでは徹底して相手の攻撃を遅らせる「ディレイ」が守備の基本だった【写真:Getty Images】

 FC東京時代、マッシモ・フィッカデンティ監督のもとでは徹底して相手の攻撃を遅らせる「ディレイ」が守備の基本だった。2年間かけて叩き込まれたやり方から、オランダの「1対1を制する守備」に即転換するのは簡単なことではない。しかし太田は貪欲に吸収しようともがいている。

「ガツガツいかないと怒られる」環境に飛び込み、「ファウルしても自分のところで攻撃を止めることが大事で、前を向かせないことだけを考える」ことで”オランダ仕様”の守備を完全に自分のものにしつつある。

 そして守備の改善は、持ち味である攻撃にもいい影響を与えている。「フィテッセの方が前に関われるチャンスというのは1試合で何本も多いし、東京にいた時は守備的な戦いをしていたからクロスを上げるにしても深い位置まで行けなかった。そういう意味で今日みたいなゲームができれば自分の特徴が生きる」と太田は語る。

 DFとして守備が第一という姿勢にブレはなかったが、実際にするどいオーバーラップや高いポジション取りで相手に圧力をかけ続けることができた。前出のボルフマン氏は守備面について指摘していたが、同時に「攻撃的なサッカーをするフィテッセでは、どんな選手にも攻撃を加速させることが期待される。さらに活躍するにはアグレッシブでいることが重要だ。守備だけでなく攻撃も、ということだね」と、太田の長所を伸ばすことが活躍の鍵になると述べている。

 マルテンス氏も同じ意見を持っていた。「まずは守備、そしてストライカー然としたプレーだね」と、時にゴールに対して貪欲な姿勢を見せる必要性を指摘した。

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