監督交代を経てもチェルシーは「世渡り上手」か?
では、これを対戦カード別に見てみる。
まずは初日のPSG vs チェルシー。つまり「クールネス」vs「世渡り上手」の対戦となる。PSGは1試合平均653本のパスを出して走行距離は105.432km。左上グループで最も走行距離は少なく、最もパスを通している。そして6試合で12得点を挙げ、32チームで最少となる1失点。いわば生粋の「クールネス」といえる。
対するチェルシーは、399本のパスで走行距離は104.53km。左下グループの中では最もパスを通してはいるものの、逆に最も走行距離が少ない。それでもグループステージを4勝1分け1敗13得点3失点という好成績で突破。モウリーニョ監督らしい堅守からの速攻というスタイルがデータに現れたのだろう。
一方でプレミアリーグではモウリーニョ監督が率いた16試合で18得点26失点と守備が崩壊。欧州の舞台では上手く世渡りができたものの、イングランド国内では「世渡り下手」と真逆の結果となってしまった。
このカードの見所は、クールなPSGを相手に策士ヒディンクがどのようなプランを立てるかというところ。指揮官が変わったことでチェルシーがグループステージと同じような性格のチームとなるかは分からないため、逆にローラン・ブラン監督はやりにくさを感じているかもしれない。
次に同日のカードとなるベンフィカ vs ゼニト。こちらは「クールネス」 vs「男気」の激突となる。ベンフィカは442本のパスを出して走行距離は105.894km。6試合で2敗を喫したものの、勝ち点10を稼いで難なく突破を決めている。
対するゼニトは、110.420kmを走ったが、パス成功数292本はベスト16中最少。グループステージではバレンシア、リヨンといった国内リーグでも苦戦中のチームと同組という恵まれた組み合わせだったが、それでもわずか1敗で終えた。パスをつながなくとも走力で勝ち切ることは十分に可能ということを証明した。
若干地味なカードともいえるが、この対照的な2チームの激突は興味深い一戦となりそうだ。