出色だった永木、秋元、遠藤の働き
90分足を止めることなく選手全員が走り抜くアグレッシブなサッカーで一昨年のJ2を圧倒的な強さで勝ち上がった湘南。『J1に住む』ことを目標に掲げた昨季は、積み重ねてきた湘南スタイルを前面に押し出し、旋風を巻き起こした。
年間順位8位は昇格初年度としては合格点であり、また順位以上にそのサッカーのインパクトで爪痕を残した。ボールを奪って攻撃に移行すると、選手たちは一気呵成に相手ゴール前へと走り出す。複数の選手がボールを追い越し敵陣へと進攻。分厚い攻撃を仕掛けていった。
中でも永木、秋元、遠藤は不可欠な存在だった。永木はボールのあるところに必ずといっていいほど顔を出し、自陣、敵陣構わず出没した。途方もない運動量の中でもボールを扱う精度は落ちず、攻守において中心であり続けた。
秋元の安定したセービングはチームのピンチを何度も救った。ポジショニングがいいからシュートを正面で受けることができ、また驚異的な反応で難しいシュートも水際で防いでいた。秋元の活躍で取った勝ち点は決して少なくない。
3バックの一角ながら機を見た攻撃参加でチャンスに絡んだ遠藤は、日本代表の活動もある中で最後までチームを支えた。本職の守備でも鋭い読みと球際の強さを発揮。DFとしては背の高いほうではないが空中戦でも頼もしさを感じさせた。
特定の選手に依存することのない曹監督だが、この3人は替えが利かない。もちろんそれは、3人とも毎試合好パフォーマンスを見せたからこそであり、さらに言えば練習中から常に100%の力を出し切っていたからだ。そうした彼らの姿勢が仲間を鼓舞し、体力的にしんどい時間帯でももう一歩を出させる一因となっていた。
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