昨季までのチームに加わった獰猛で動物的なウインガーの存在
ポジションは有って無いようなものだが、基本的に4-3-3でスタートする。CBにはバドシュトゥーバーとキミッヒが入った。キミッヒは本職をボランチとする。しかし現在マルティネス、ベナティア、ボアテングが離脱しており、6日のブンデスリーガ第20節レバークーゼン戦から、CBのポジションに入った。
キミッヒは「ちょっと驚いた」と言う。まるでペップは、人の意表を突くことを生きがいとしているかのようだ。ボーフム戦の3分、ノイアーは、センターサークル付近まで飛び出した。
他にも随所に“らしさ”は現れていた。攻撃時には、ワンボランチのアロンソがDFラインまで下がる。ラームとアラバの両SBは内側にポジションを取って、数的優位を作り出そうとする。全体を押し上げて細かくパスを繋ぐ。そしてコスタとロッベンの両ウイングが、グイグイとサイドを抉っていく。
獰猛で動物的なウインガーの存在は、昨季との大きな違いと言えるだろう。昨シーズンの後半戦でロッベンとリベリーを同時に欠いたときには、どうしても戦術的に行き詰ってしまうこともあった。
いかにペップと言えど、戦術的工夫だけでは限界がある。フットボールにおける知性に動物的な感性の融合を必要とするのが、ペップ・バイエルンなのである。
【次ページ】真新しさのない勝利が示す“完成形”