アジアの列強相手にどのような戦いを見せるか
ベトナム女子代表は、年明け早々にリオ五輪最終予選に向けた国内キャンプを開始。1月中旬に行った中国遠征では、中国、韓国、メキシコと強化試合を行い、3戦全敗を喫した。
気がかりなのは、強みであるはずの守備陣の粘りが殆ど見られなかったこと。強豪メキシコを相手に0-1は評価できるとはいえ、同予選でも対戦する中国と韓国にそれぞれ、0-8、0-5という結果をみると、アジアの列強との差を感じずにはいられない。
ベトナムはこの大会で、4-5-1のシステムを採用。マイ・ドゥック・チュン監督時代のベトナム女子代表は、堅守速攻をお家芸としていたため、リオ五輪最終予選でも同様の戦術で来ると見られる。
昨年末に発表された最新のFIFA女子ランキングによると、ベトナムは世界29位につけている。東南アジアではトップだが、同予選で対戦するホームのなでしこジャパンは4位で、前回のロンドン五輪では銀メダルに輝いた世界屈指の強豪。
この他の対戦相手を見ても、朝鮮民主主義人民共和国6位、オーストラリア9位、中国17位、韓国18位と、いずれも格上ばかりだ。
ベトナムは、乗松監督時代に徹底したフィジカル強化を行っており、苦手な相手や強国を前に委縮するという精神的な脆さも徐々に克服しつつある。
昨年のリオ五輪2次予選では、初戦黒星スタートという最悪のスタートから破竹の3連勝。最終戦では、重要な試合で幾度となくベトナムの前に立ちはだかってきた因縁の相手であるタイを打ち破って最終予選進出を決めた。
最終予選に出場する6チームのうち、最も評価が低いベトナムだが、ベテラン勢にとって、アジアでの大舞台は今回が最後となる可能性が高い。
ライバルのタイは昨年、一足早く女子ワールドカップ初出場を果たしているだけに、ベトナムにはこの最終予選出場を単なる経験に終わらせるのではなく、世界の舞台に飛躍するための確かな足跡を残す大会としてもらいたいものだ。
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