補強面と総合力それぞれの診断結果
補強診断 D-
若手選手への期待も大きくなるが、過度な期待は禁物
補強のポイントは中盤から前線に掛けてであった。江坂任が大宮へ移籍し、吉濱遼平が最終節に負ってしまった右膝前十字靭帯断裂で全治8ヶ月の怪我でシーズン中盤まで起用できない。
昨シーズンはチーム総得点34点中20点をこの2人で挙げていたからである。熊本から常盤聡、長野から高橋駿太を獲得したが、獲得したブラジル人3選手は合流が遅れ、開幕までにどこまでフィットできるかは未知数なところが大きい。
また、ファンソンス、坂井洋平、アクレイソンの放出で中盤センターの駒も不足している。昨シーズンの江坂のように若い選手や大卒選手への期待も大きくなるが、過度な期待は禁物である。攻撃の形をシーズン序盤に見出せなければ、残留争いに巻き込まれてしまう可能性もある。
その点において、昨シーズン途中から長野で監督を務めた衛藤元とアマラオがコーチに就任したことはピッチ外における大きな補強と言える。一方の守備陣は正GKの富居大樹が山形へ移籍したものの、前橋育英出身でキャプテンに就任した坪内俊介を含め、船津徹也、一柳夢吾と経験豊富な選手を獲得した。若い選手が多いだけに、彼らの経験がチームへ還元されていくことも期待される。
総合力診断 D
早急にチームの方向性を定めることが重要
経験豊富な戦力を補強し、ある程度計算の目途が立つ最終ラインより前方はこれからの熊本キャンプを通して様々な組み合わせを試すなど試行錯誤が続いていくことになりそうだ。
大量放出、大量補強によってチームの根幹が大きく入れ替わっただけに、早急にチームの方向性を定めることが重要である。近3シーズンは20位、18位、18位という結果に終わっており、J1昇格とは胸を張って言える順位を残せていない。
現在前橋市は天然芝のグラウンドを含む運動場の整備を進めており、ここにはクラブハウスも建設される予定である。行政の支援はもちろん税金から行われるので、無駄ではなかったと思わせるようなサッカーを市民、県民に見せ、スポンサーやファンの期待に応えるシーズンにしたい。
【了】