終盤に続いたもどかしい展開…指揮官も激昂
こうしてミランは、チームとしても相手DFを拡げることに成功した。後半3分にはその間隙を突き、中央から崩してエムバイエ・ニアンのゴールで早速1点を返す。その後はペースを完全に支配し猛攻を続けた。
本田も立て続けに仕掛ける。23分には左サイドに流れて突破を図り、クロスを上げてCKを取る。27分にはボアテンクと細かくワンツーを決めてエリア内を突破。その直後には右サイドから左足でクロスを上げてバッカの頭に当てるが、シュートは上に浮いた。
ただチームは、攻撃を続けてもなかなかシュートまでいかない。ゴール前にパスを入れて余計な手数を増やしてしまうため、本当の意味でDFを崩しきることが出来ていなかった。スタンドからはもちろん分からなかったが、現地の中継ではミハイロビッチ監督が「フットサルじゃないんだからシュートを打て!」と激昂していたという。
そういった強引さと狡猾さは、この日の本田にも必要だったかもしれない。後半34分、ゴール前のこぼれ球に反応してダイレクトでシュートを狙うが、凡庸なミートでゴール右にそれた。もっとも勇気を持ってシュートを狙い、かつ冷静にミートすることは他の選手も出来ず、チーム全体として終盤のもどかしさが際立った。閉じたディフェンスの中で1対1を仕掛けて強引にシュートへ持っていけるボナベントゥーラの不在が、この日には響いてしまった。
試合終了後、いつもなら比較的涼しい表情でスタンドに手を振る本田が、疲労困憊ぶりを隠していなかった。1月からミッドウイークのカップ戦も全て出場、その上で守備にも走り回り、かつ足元の精度をキープするというのは大変なことだろう。
ここまでのハードワークで、定位置を確保できたことは良かった。一週間で回復を図り、ゴール前での強引さという課題のクリアにも挑んで欲しいものである。
【了】