天才・本山雅志が退団。新10番は柴崎の背中へ
タイトルを獲得したことは評価されるべきであり、決勝で見せた選手たちの鬼気迫るプレーは黄金期を思い起こさせるものだった。死に物狂いに戦えた要因は、その1週前の手痛い敗戦にある。2nd第15節・湘南ベルマーレ戦。勝てば広島に肉薄できる大事な試合で、鹿島は敗れている。
この負けでステージ優勝が絶望的となり、天皇杯も早期敗退となっていたため残るタイトルはナビスコカップのみとなった。赤崎秀平は「何が何でもナビスコは」と自身に発破をかけたように、リーグと引き換えにカップ戦を勝ち取ったとも言えるのだ。
鹿島は常に全てのタイトルを狙うチームである。1度の優勝に満足することなく“次”を見据える。だからこそ、何度も何度も頂点に立つことができた。
「アントラーズはタイトルを獲ってこそのチーム」。ナビスコカップ決勝後、小笠原はそう繰り返した。
敗戦によって選手の目の色が変わり、力を発揮することも確かにある。だが鹿島は、勝ってなお貪欲でなければならないチームだ。その意味でも、来季こそリーグ優勝を達成したいところだ。
一昨年の中田浩二氏の引退に続き、本山雅志もクラブを去ることになった。試合への出場を求めて故郷でもある北九州へ移籍。鹿島一筋の天才が背負った10番は、柴崎へ受け継がれることになった。
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