五輪出場決定後、世間をにぎわせるOA招集論
行使するか否かではなく、誰を招集するべきなのか――。U-23日本代表がリオデジャネイロ五輪出場を決めた直後から、オーバーエイジありきの報道がかまびすしさを増している。
メディアで名前が挙がった選手の数だけでも、すでに2桁に到達している。A代表の常連はもちろんのこと、手倉森誠監督がこれまで指導してきた縁からGK林卓人(サンフレッチェ広島)、出身地の青森県つながりでMF柴崎岳(鹿島アントラーズ)の名前も報じられている。
候補として報じられた選手たちも、おそらく困惑しているのではないだろうか。FW大久保嘉人(川崎フロンターレ)のように「日本の力になれるのなら」と話すにとどめる選手もいれば、選出当確とされながらロンドン五輪代表から漏れたFW大迫勇也(ケルン)はこんな言葉を残している。
「僕からは何も言えないというか、何もわからない状況という感じです」
オーバーエイジを含めて、選手の招集に関してはあくまでも手倉森監督の専権事項となる。出場権獲得に23歳以下のアジア王者という肩書を添えて、羽田空港に凱旋帰国した1月31日深夜。記者会見に臨んだ指揮官は、オーバーエイジ枠の行使に関してこう言及している。
「使わなきゃいけないとか、使わないととかは、いまはいっさい考えていない。彼らの成長とともに、いろいろ判断していければいいなと思います」
国際オリンピック委員会(IOC)と国際サッカー連盟(FIFA)による綱引きが繰り返されたなかで、1992年のバルセロナ大会から五輪は「23歳以下のワールドカップ」として位置づけられた。
年齢制限にとらわれない選手をオーバーエイジとして、3人まで招集できるように規定が追加されたのは1996年のアトランタ大会。理由は単純明快だ。知名度の高いスター選手たちに五輪を盛り上げてほしいと、商業的な思惑からIOCが熱望したからに他ならない。