代表クラスの守備陣を獲得
ゼロ円移籍で多くの選手を獲得した昨年オフとは異なり、今年はピンポイントの補強となった。また、クラブ史上最長の5年目となるミハイロ・ペトロヴィッチ監督が“広島”の肩書きを持つ選手を獲得しなかった初めてのシーズンとなる。
浦和の黄金期を支え、2006年のJリーグ優勝や2007年のACL制覇などを知る数少ない選手だった鈴木啓太は惜しまれつつも現役を引退。岡本拓也らユース出身の若手が武者修行に出たが、昨年の主力所はほぼ全員が残留した。
それどころか、湘南から日本代表DF遠藤航、アスタナからスロベニア代表DFブランコ・イリッチといった代表クラスの選手を獲得。長年の課題でもあったDF陣が充実した。
DF陣にはCBとSBの両方の素質が求められる“ミシャサッカー”でも、この2人なら問題なし。ボランチも鈴木が引退してしまったものの、リオ五輪予選で優勝に導いたU-23日本代表主将の遠藤がこのポジションをこなせることは代表でも実証済みだ。
ポリバレントな2人が加入したことで、ペトロヴィッチ監督も選択肢が増えることになった。リーグ優勝はもちろん、3つのカップ戦でもタイトルを狙うなら、単純な選手層だけではなく試合に応じて臨機応変な采配が必要となる。
また、駒井善成の加入も忘れてはならない。攻撃的なポジションを複数こなすことのできるユーティリティ性は、浦和の攻撃に厚みを持たせることになる。
その他のアタッカー陣は昨年は同じ陣容だが、伝統の背番号9を受け継いだ武藤雄樹が今年も躍進し、負傷がちエースの興梠慎三がシーズンフル稼働ができれば、昨年2位の得点力を誇る攻撃陣にそこまで心配しなくても良いだろう。
高校ナンバーワンFWの呼び声も高いU-18日本代表の伊藤涼太郎もどこまで通用するのか見物である。
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