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プレミアが抱えるユース事情の闇。広がる1軍とのギャップ、減り続ける“生え抜き選手”

text by 山中忍 photo by Getty Images

減り続ける生え抜き選手。ユース出身がゼロのチームも…

 だが、選手の起用は最終的に監督次第。いわゆる「全権監督」がアーセナルのアーセン・ヴェンゲルぐらいしかいない現状ではクラブ次第だとも言える。“TVマネー”の高騰により、プレミア勢とそのクラブに雇用される監督の間では近視眼傾向が強まるばかり。

 ユナイテッドでの監督就任当初、サー・アレックス・ファーガソンがコーチ陣を連れてU-16チーム以下の練習にまで頻繁に顔を出していた時代は遠い昔だ。今では、ユース指導者が1軍監督への直接報告を求められないクラブもあるという。レンタル移籍で国内外の他クラブに散らばっているユース出身者数が20を下らないチェルシーなどでは、1軍監督が各若手の状況を自ら把握することなど土台無理な話だ。

 来季からは最下位でも現状5割強増しの9900万ポンド(約180億円弱)を放映権収入の分配金として手にするプレミアでは、クラブの規模的には自家製戦力の割合が高くて然るべきボーンマス、ワトフォード、ノリッジの今季昇格組でさえ、23節までに二桁台のリーグ戦出場を経験しているユース出身者が3チーム合わせても1人しかいない。

 昇格5年目にして残留が怪しいスウォンジーでは1人もリーグ戦で起用されていない。U-21チームから1軍へのギャップは、もはやビッグクラブに限られた問題ではないのだ。

 代表復興を目指すイングランドのトップリーグで、育成環境が改善されているのかと訊かれれば答えは「イエス」。だが、最終的な1軍への輩出に関しては「ノー」と言わざるを得ないプレミアのユース事情がここにある。

【了】

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