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プレミアが抱えるユース事情の闇。広がる1軍とのギャップ、減り続ける“生え抜き選手”

近年、世界各国からスター選手がやってくるプレミアリーグ。巨額の放映権料によりその傾向は顕著になっているが、一方でどのクラブにもユース出身選手、いわゆる“生え抜き選手”が少なくなっている。そこには、プレミアリーグが抱えるユース事情の闇があった。

text by 山中忍 photo by Getty Images

FAユース杯で好成績のチェルシー。しかしその選手たちはどこへ?

チェルシーユース
昨季のFAユースカップで優勝したチェルシー【写真:Getty Images】

 タイトル防衛を狙うチェルシーが5-1の大勝で第5ラウンドへ。これは1月末にMKドンズ(2部)を同スコアで下したFAカップではなく、その前週にマンチェスター・ユナイテッドを下したFAユースカップでの出来事。チェルシーのU-18チームは過去6年間で5度の決勝進出を果たし、4度の優勝を飾っている。

 だからこそ余計に「そのファイナリストたちは何処に?」と思わされる。チェルシー1軍の主力に35歳のジョン・テリーしかユース出身者がいないことは有名。そして、生え抜きレギュラーが限られる傾向はプレミアリーグ全体に当てはまる。

 チェルシーのFAユースカップ優勝歴が示すように、下部組織でのタレント育成は進んでいる。同大会での昨季決勝は、やはり自家製レギュラーが乏しいマンチェスター・シティが相手だった。一昨年から即戦力獲得に巨額の移籍金を費やしているユナイテッドは、今季のU-18プレミアリーグで優勝を争ってもいる。

 プレミアに『エリート・プレーヤー・パフォーマンス・プラン』なる育成促進策が導入されたのは4年前。以来、フルサイズのピッチを利用した11人制の試合導入年齢を上げるなどして、技術面の改善を目的として指導方法自体にも変更が加えられてきた。

 今季のプレミアで得点王候補に化けたジェイミー・ヴァーディー(レスター)が、16歳当時にフィジカル不足を理由にシェフィールド・ウェンズデー(2部)のユースをお払い箱にされたような事態を防ぐため、ユース指導者に対する意識改革の必要性も認識されている。

 各クラブは、下は5歳からスカウトに必死。地元の私立校入学や住宅提供を約束して選手の親ごと勧誘する傾向も強まる一方。FA協会の発表では、昨年末時点で計12500人ものユース選手が、国内下部組織の上級ステータスに相当する「アカデミー」に所属している。

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