本田が決めた勝負への覚悟
「ミランのために自分が何とか爪痕を残そうとした時に、自分の特徴を活かすプレーに戻っているだけ」と本田自身は語っていた。ただ移籍当初からそれをするにも連係そのものが成り立たなかったわけで、それを考えればプレッシャーの掛かる中よくここまで自分の流れに持って行けたものである。
我々日本のファンやメディアは、代表でやっているような攻撃の王様ぶりをミランでも期待してしまう。その意味では、守備に走る本田など見たくはないという方もおられるかもしれない。
しかしそれを簡単に許さない勝負の世界が、ここにはある。その中で実直に体を張り、やれるプレーを確実にやってチームに貢献する。自身の生き残りとミランの勝利のために、本田が腹をくくっていることは理解されなければならない。
さて本田が活躍した一方、インテルの長友佑都には出場機会がなかった。マンチーニ監督は「(ダニーロ・)ダンブロージオと長友は水曜日のコッパ・イタリアで疲れていた」と語っていた。前日会見では「ダービーに出る可能性はある」と語ったが、実際は可能性でとどまったようである。
それにあたり、本田が空中戦に強いことも鑑みてアレックス・テレスでもなく長身のファン・ジェズスをぶつけたのだろうが、マンマークで喰い止めるつもりが逆になった。完全に結果論だが、むしろここはスピードと敏捷性のある長友をぶつけた方が良かったのではないだろうか。
過密日程で出ずっぱりながら、連係を重視し本田を連続起用したミハイロビッチと、ターンオーバーを多用し長友を外したマンチーニ。そして今回は、前者に軍配が上がった。
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