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本田圭佑 9年前

本田に送られた観客からの拍手の意味。ダービーで証明した自らの存在価値と勝利への執念

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ダービーでも光った守備の貢献

 その次には、サイドを起点とした仕掛けが効いたこと。丁寧にパスをつないでポゼッションを演出するのみならず、行ける時には縦にも仕掛けた。ファン・ジェズスに対しては駆け引きで勝負し、ドリブルでの突破並びに推進も4度成功させている。後半にはエムバイエ・ニアンを本田と近い位置につける修正が行われたため、攻撃はより効果的になった。縦パスで味方を走らせ、拡げられたスペースの中に入ってリターンをもらい、さらに攻撃へと絡む。

 中盤から飛び出すユライ・クツカや右SBイニャツィオ・アバーテも、本田が捻出したスペースを作って盛んに飛び出す。この日インテルのロベルト・マンチーニ監督はミランの左サイドを切ってきたが、その分ミランは右から活路を見出し、本田はその中枢となる。追加点も直接絡んではいないものの、右サイドでパスを交換し崩した流れから、ニアンがバッカへクロスを出している。

 そしてもちろん、守備への貢献である。後方に回ってアバーテのカバーを行うのみならず、前方でもプレスを掛けてインテルのビルドアップを切った。さらに中盤の選手が飛び出したり、カウンターなどを食らってカバーが間に合わなかったりした時には、中に入ってスペースを埋めた。

 地味ではあるがこういった働きがチームを助け、時に得点へのベースとなる。後半31分、中盤の底を助ける形でカバーに入り、体を張りながらボール奪取に成功。これを起点にカウンターとなり、最後はニアンが決めた。その後チームメイトがニアンを祝福に向かう中、CBのアレッシオ・ロマニョーリは本田の方へ行った。ボール奪取の貢献を讃えたから、というのは考えすぎだろうか。

 戦術を理解し守備に貢献を果たしながら、パス交換を通して攻撃の流れを作っていく。この数試合で継続していたパフォーマンスが、大事な一戦で結実した。ファンはその意味を理解し、本田を褒めたということだ。

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