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徐々に姿を現したジダン・スタイル。試合を支配する“遅攻”とCR7を生かす“速攻”の同居

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

CR7を生かす速攻へのリズムチェンジ

クリスティアーノ・ロナウド
クリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】

 とはいえ、マドリーの核は言わずもがなクリスティアーノ・ロナウド。この背番号7が生きるのは、遅攻ではなく速攻。縦に速い展開でこそ、そのスピードとパワーが生かされ得点につながる。

 それでも、遅攻を軸としたこの試合でロナウドはハットトリックを達成。それは、ジダン監督が「彼はチームの魂」と称するようにロナウドの長所をしっかりと把握し、生かす方法を取り入れていたからに他ならない。

 ジダン監督の基本スタイルはショートパスをつないで押し上げる形ながら、この試合では55本のロングパスを出した。ここまでの平均が56本であることからも、ジダン監督はショートパスを増やしつつ機を見てロングパスも織り交ぜて“リズムチェンジ”を行っていることがわかる。

 ロナウドが44分に決めた自身2点目は、GKケイラー・ナバスのセーブから一気に逆サイドのゴールを襲う、まさに速攻から生まれたものだった。

 そして、このリズムチェンジにおいて重要な役割を担っているのがGKナバスとアンカーのトニ・クロースだった。

 センターラインに位置するこの2人は、ともに10本のロングパスを繰り出した。ここまでの平均がナバス6.1本、クロース7.2本であり、ともにこの試合で平均以上のロングパスを出していた。

 就任から4試合、この一戦でジダン監督が理想とするスタイルは形を見せ始めた。CLも再開しアトレティコ・マドリーとのダービーも控える2月は、ジダン監督の将来を占う重要な1ヶ月となるだろう。

【了】

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