アートとサッカーとの共通性とは?
――今回、日比野さんには隔月刊誌『フットボール批評issue09』のカバーにイラストをご提供いただいたんですけども、サッカー雑誌の表紙に作品を出すっていうことって今までありました?
日比野 すごく久しぶりだよね。一時は、雑誌の表紙にイラスト提供するのはいっぱいやっていたけど、最近やってない。
――これが作品の原画ですね? 象形文字のようにも見えますが、書道のように一気に描き上げた感じでしょうか?
日比野 最初の筆をどこに入れるかは考えるけど、そこから先は感覚というか筆に任せるという感じだね。
――以前から思っていたんですが、日比野さんのドローイングって即興性というか、ある種サッカーのプレーに通じるものがありますよね。
日比野 白い紙があって、ここに筆を落としたら次はどこに行くかっていうのは、そこにパスが出たからオレはこっちに動くぞ、みたいな連動性みたいなものは、確かに似ているかもしれないね。
「アートとサッカーとの共通性」について説明するときによく話すんだけど、サッカー選手って自分のキックの軌跡をイメージしながらボールを蹴るわけだよね。
絵描きも白い画面を前にして、筆を持ちながらイメージするわけ。「こんな感じになるといいな」ってイメージしながら、手を動かしてイメージを筆先に伝えていく。その感覚って、スパイクの先に軌跡のイメージを伝えていくのと同じだと思うんですよね。芸術的なパスとかプレスキックを得意としている選手ほど、その傾向は強いんじゃないかな。
だから「身体表現」という意味では、僕はアートもサッカーも同じだと思っている。
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