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本田圭佑 9年前

本田と長友、それぞれが遂げた復活劇。一度は戦力外扱いも…危機を乗り越えた2人が今、ダービーで激突へ

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

開幕前の放出リストから…スプリント能力で期待に応えた長友

長友佑都
戦力外扱いから監督の信頼を勝ち取った長友佑都【写真:Getty Images】

 一方、努力を重ねて指揮官の信頼を勝ち得たという点では、長友の方がより派手な復活劇を遂げていた。彼は夏の時点で放出リストに載せられていたのだから。開幕してからチームには残ったものの、第2戦のカルピ戦で途中出場し失点に絡んでからは出場機会そのものにも恵まれなかった。

 だが、練習は怠っていなかった。「練習から120%全力でやれば、マンチーニの心にも伝わるはず」と彼は考えた。そしてその通り、指揮官は第9節のパレルモ戦から長友にチャンスを与え始める。ダビデ・サントンやSBに回されたファン・ジェズス、そして新加入のアレックス・テレスなど、サイドバックには決め手を欠いていた。

 すると長友は、見事なスプリント能力で期待に応えた。第10節のローマ戦では俊足FWのジェルビーニョやモハメド・サラーを、そしてトリノ戦では右アウトサイドのブルーノ・ペレスを走力で封じ込めた。一度は戦力外扱いを受けたはずなのに、チームに貢献しようと努力を続けたことで再評価。クラブは契約の更新へと向かっている。

 試合に出ても充実したパフォーマンスを披露しているのだが、最近の試合ではちょっと印象が良くない。19節のサッスオーロ戦では守備もこなしながら二度のビッグチャンスを演出したものの、ロスタイムで凡庸なクリアを拾われPK献上へと繋がった。

 21節のカルピ戦でも、終盤に起用されながら守備固めには貢献できず。27日のコッパ・イタリア準決勝ユベントス戦では、長身のポール・ポグバをぶつけられ、ミスマッチを利用されて起点を次々と作られた。

 彼もまた、結果に絡むプレーを求められている。マンチーニ監督は「長友はいつも真剣で信頼が置ける」としつつ「まずしっかり守備をすること」と要求している。

 ミラン、インテルとも、勝たなければそれぞれ危機が叫ばれるような瀬戸際のダービー。チームに勝利をもたらすプレーができるのは、果たして本田か長友か。同サイドで直接のマッチアップが実現するかどうかはわからないが、そんな対決に注目したい。

【了】

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