消えた選手たちの穴を埋めるビッグディール
育成王国としての地位を確立しているポルトだが、必ずしも百発百中で逸材を育て上げているわけではない。
チェルシーやユベントスのように期限付き移籍を多用するわけではなく、自クラブでの成長が主であること。また、より掘り出し物といわれる選手を獲得していること。この2点から大量に選手を獲得しているものの、思うように市場価値を高めていない選手も多い。
実際に過去5年間においては獲得選手の半数以上である22選手は、市場価値を100万ユーロも高めることなく退団、もしくは現在に至っている。
それでも、ポルトは今回の分析における合計値はチェルシーに次ぐ2位であり、2015年夏の移籍金収支では世界No.1に輝いている。その理由はブレイク選手のビッグディールが大きな利益を生んでいるからだ。
ポルトは安売りをしないクラブとして有名だ。「全ての選手の価値を必ず上昇させる」という戦略をとっていないため、目玉選手でしっかり稼ぐことが不可欠なのだ。そのため、移籍市場が開幕してから契約を更新し、露骨に移籍金を引き上げるという手段さえも多用している。
フッキ(5500万ユーロ)、ハメス(4500万ユーロ)、ファルカオ(4000万ユーロ)、ジャクソン・マルティネス(3500万ユーロ)といったストライカーはもちろんのこと、ダニーロ(3150万ユーロ)、リカルド・カルバーリョ(3000万ユーロ)、ペペ(3000万ユーロ)とディフェンダーの選手たちを移籍金3000万ユーロ以上で売りさばいたことは流石というしかないだろう。
ポルトの育成王国を支えるのは、多くの“消えた選手たち”と大きな利益を生む“目玉選手”の存在なのである。
【次ページ】分析結果まとめと各クラブ個別分析