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育成王国ポルト。類まれな錬金術も、消えた選手も数知れず

現代の欧州サッカー界において、選手のキャリアに移籍先クラブの選定が重要であることは言うまでもない。しかしながら、どのような選手であっても「選手の価値を高めることが上手いクラブ」というものは存在する。今回は14の欧州主要クラブに焦点を当て、所属選手の市場価値の推移によって「選手の価値を高める力」を測定することを試みる。

シリーズ:最も選手の価値を向上させるクラブはどこか text by Keiske Horie photo by Getty Images

育成王国としての地位を確立したポルト

ラダメル・ファルカオ、フッキ、ハメス・ロドリゲス
育成王国としての地位を確立しているポルト【写真:Getty Images】

 今回は近年育成王国として類まれな実績を収めているポルトの補強戦略を分析する。

 「選手価値の上昇」の定義と欧州主要14クラブの結果概要については「最も選手の価値を向上させるクラブはどこか? 欧州主要クラブを徹底比較」をご覧頂きたい。

 ポルトは過去5年間において獲得選手39名の市場価値を合計1億2680万ユーロ(約165億円)上昇させた。この合計値は主要14クラブの中でチェルシーに次ぐ2番目に高い数値となっている。

 近年はポルトガルリーグを牽引し、欧州サッカー界において「育成王国」の地位を確立している。今回の分析期間には含まれていない選手としては、現レアル・マドリーのハメス・ロドリゲス、現チェルシーのラダメル・ファルカオ、現ゼニトのフッキを育成した。

 ただし、ポルトはポルトガル国内では比較的新興勢力である。「トレス・グランデス」と呼ばれるポルトガルのビッグ3クラブに入っているポルトだが、同クラブが勢力を伸ばしたのは1980年代で、それ以前は残り2クラブであるベンフィカとスポルティングが盟主として君臨していた。

 ポルトが育成王国としての地位を確立したのも2002年のジョゼ・モウリーニョ監督就任以後であり、クラブ史における高額放出30件のうち27件は同指揮官の就任以降に成立している。

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