ミハイロビッチ監督は救世主となれるか
悲惨な状況に陥っているミランだが、希望が全くないわけではない。
一つ目の希望はクラブに資金をもたらすビー・テチャウボン氏の存在だ。株式増資を受けてミランはカルロス・バッカ(移籍金3000万ユーロ)、アレッシオ・ロマニョーリ(2500万ユーロ)、アンドレア・ベルトラッチ(2000万ユーロ)で獲得した。とりわけバッカは適正な価格の移籍金を支払うことが正解であることを証明している。
しかしながら、テチャウボン氏との合意は延期に延期を重ねており、再び“貧乏生活”に戻る可能性も十分に考えられる。
もう一つの希望は、意外にもシニシャ・ミハイロビッチ監督である。宿敵インテルからやってきたことでファンから敵意の眼差しでみられている同指揮官だが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督以来となる選手育成に長けた人物であることも事実だ。
昨季サンプドリアで躍進させたロマニョーリをミランに迎え入れ、GKには16歳の超新星ジャンルイジ・ドンナルンマを抜擢した。継続はしていないものの、開幕戦ではロドリゴ・エリーを起用し、ダビデ・カラブリアを発見させている。エムバイェ・ニアンもまた、同監督のもとで再び出場機会を得られている。
ニアンがジェノアで再ブレイクしたように、クラブはスソをジェノアに期限付き移籍で放出した。しかしながら、現在ミランが若手の育成場として確保しているのはこの超お得意様であるジェノアのみであり、全ての若手をジェノアに託すわけにはいかないだろう。ユベントスやチェルシーのように適切なクラブに選手を捌ける人物が必要だ。
クラブに資金が戻ってくれば、ミハイロビッチ監督は一定の結果を出すだろう。しかし、ミランが再び欧州で存在感を放つためには、計画性を欠くフロント陣の変革が不可欠だ。
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