JFA新会長に求められるリーダーシップ
「然るべき時期」とはいつなのか。当時はACLの開催方式がUEFAチャンピオンズリーグと同じカレンダーに変更されると同時期に、とされていた。しかし、現状の国内カレンダーが「限界」に達しているいま、ACLの動向を待つ余裕はないのではないか。前出の理事は言う。
「秋春制をやるかやらないかではなく、シーズン移行を決めるか決めないかだ」
移行するとなれば日本サッカー協会とJリーグが車の両輪となり、行政を巻き込んで半ば強引にけん引していくしかない。インフラ整備に関する費用は、前者が積極的に担っていく必要も出てくる。
日本スポーツ界でも初めての試みとなる会長選の候補者として告示されたのは、田嶋副会長と原専務理事の2人。日本サッカー協会内ではすでに理事28人による投票が行われ、19対9で上回った田嶋副会長が理事会選出の候補者となったことが報告されている。
実際の会長選においては、理事28人は投票権をもたない。規約で謳われた「日本サッカー協会理事会選出の候補者」がもつ意味には微妙な部分があるが、非常にデリケートな時期でもあるだけに、理事の一人である村井チェアマンは「秋春制」への移行に関して言及することを避けている。
「私が何かコメントすることで両候補のプラス、マイナスがあってはいけない。シーズン制に関する私の意見は、基本的には新会長が決まってからお伝えさせていただきたいと思います」
いま現在の日本サッカー界には、取り組むべき課題が山積している。そのひとつである「秋春制」への移行に関しては、ある意味で正解も不正解もない。どちらのメリットを優先させ、新会長がリーダーシップを発揮して、Jリーグとタッグを組んで実行に移すか否かの時期にさしかかっている。
新会長が決まるのは、31日に東京・文京区のJFAハウスで行われる臨時評議員会。47都道府県協会とJ1クラブ、関連団体などの代表者で構成される75人の評議員の投票によって、日本サッカー協会の現職幹部の一騎打ちによる選挙戦に決着がつく。
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