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“カタールの広告塔”としてビッグクラブ化したPSG。国家政策によるWIN-WINのスポーツビジネス

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

イメージ戦略が結実した2022年W杯招致

 カタールでは年間50以上のスポーツの国際大会が開催されているという。

 1年が52週だから、ほぼ毎週、12平方kmに満たない小さい国のどこかで、何かしらスポーツの大会が催されているということだ。

 毎年1月に行なわれるテニスのATPプロツアートーナメント、カタール・オープンなどは1993年から行なわれている老舗大会の一つで、その他、砂埃が舞い上がる中、砂漠地帯を疾走する自転車プロロードレース、ツアー・オブ・カタール、陸上のダイアモンドリーグや、ハンドボールにバレーボールなど、積極的に競技の幅も広げている。2020年の五輪招致にも立候補していた。

 彼らがそこまでスポーツ大会開催に熱を入れているのは、何かとライバル意識のある(相手側にその意識があるかは疑問だが)アラブ首長国連邦(UAE)と比べて観光資源に乏しく、観光客を誘い込めないという事情があるからだ。

 筆者も、今や名監督のグアルディオラや、イエロ、バティストゥータらが揃ってカタールでプレーしていた頃に取材に行ったが、観光した、という思い出はまったく残っていない。ペルシャ湾に面していて海はあるのにビーチもなくてがっかりしたのだけは覚えている。

 そんな状況だから、彼らは国を挙げて各大会をバックアップしている。取材陣にホテル滞在をオファーしたり、会場までのシャトルバスの完備、プレスルームで豪華な食事を提供するなど、報道陣のもてなしにも徹して「カタールでやると良いなあ」というイメージを植え付けることにも尽力している。

 何年か前、サッカーの大会取材でカタールに滞在していた仕事仲間が揃って丸くなって帰ってきたので尋ねると「あまりにメディア用ゴハンが充実していて食べ過ぎた」と口を揃えていた。

 そんな努力が実って彼らは2022年のW杯開催権というプラチナチケットも手に入れた。

 灼熱の国につき、開催時期をずらすなどすったもんだも起こったわけだが、『カタール=世界的なスポーツ開催国』というイメージ作りは着実に実を結んでいる。

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