さすがの修正能力も…戦術の幅がやはり課題に
前半45分のマドリーのスタッツを見てみると、ボールを持ってプレーした位置を示す「アクションエリア」では自陣で51.51%にとどまり、クロスは14本を記録しながら成功したのはわずか2本。結局は7分にセフードが決めた1点を返すことができず、ベティスのリードでハーフタイムを迎えた。
このマドリーにとって失敗に終わった前半の結果を招いた要因は、今やキーマンともいえるベイルを欠いたことも挙げられるが、それ以上にチームに柔軟性がないことだった。
もちろん、まだ新チームとなって3試合目なので致し方ない部分はあるが、これだけの戦力を抱えていながら1つの攻撃パターンしか持ち合わせていないのは“コスパが悪い”と言わざるを得ないだろう。
ただ、ジダン監督がハーフタイム明けに見せた修正力は、やはり高いものだった。ビルドアップに苦しみ、自陣にとどまっている状況を打開するためにDFラインをより高く押し上げた。特に両SBのポジショニングは顕著で、ともに敵陣でのプレー割合が前半に比べて後半が大きく上昇。マルセロに至っては、38.10%から62.12%となり、前後半でプレーする陣地がほぼ逆転した。
そして、チーム全体でも敵陣でのプレーが前半の48.49%から後半は64.82%へと上昇。その結果、支配率は54.6%から72.7%、チャンスメイク数は6回から10回、シュート数では6本から12本と倍増させた。
それでも、最終的に71分にハメス・ロドリゲスのオフサイドが疑われるアシストによってベンゼマが決めた1点しか奪えず、勝ち点1を分け合うこととなった。
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