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本田圭佑 9年前

本田が露呈した悪癖。バランサーとして中盤を制すも…払拭できない“物足りなさ”

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

再び感じられた攻撃での物足りなさ

ケビン・プリンス・ボアテンク
本田と交代で出場したケビン・プリンス・ボアテンク【写真:Getty Images】

 2度のリードを追いつかれて迎えた後半22分、ミハイロビッチ監督はFWマリオ・バロテッリをピッチに送った。序盤戦ではこんな時、交代を命じられるのは本田であった。しかし表示されたボードは「19アウト、45イン」。つまり変えられたのは二アンで、本田はピッチに残されたのである。

 そこからのプレーはまずまず良かった。対面のマリオ・ルイを単独で抜き、そのまま縦に敵陣を破る。前半は切れ気味だったイニャツィオ・アバーテとの連係で右サイドから仕掛ける回数も増えた。

 守備の上でも、バランサーとして相変わらず効いていた。後半8分、エンポリのマルコ・ジャンパオロ監督は左インサイドMFの位置に攻撃的なダニエレ・クローチェを投入している。しかし本田は外や中に絞ってカバーリングを行い、チャンスを作らせなかった。

 マリオ・ルイを凌駕し右サイドを破ったシーンは、前半にも何度かあった。本田で優位に立てることを指揮官は十分に予見し、またバランサーとして守備面でも重要な役割を果たしていると判断したからこそ、組織的なエンポリを前にみすみす中盤に穴を開けるような真似はしたくなかったのだろう。

 とはいえ、最後にラッシュを掛ける際には下げられていたのもまた事実。このあたりは、「本田はゴール前で物足りない」というミハイロビッチの評価を完全に払拭できていないと感じさせるものだ。ちなみに代わって入ったのはケビン・プリンス・ボアテンク。その彼は、システムチェンジの末4-3-1-2のトップ下として使われていた。

「実戦から長く遠ざかっていたバロテッリとボアテンクは、まだフィジカルコンディションができあがっていない」とミハイロビッチ監督は語る。しばらくは、先発からこの形になることはないだろう。だがその間に、やはり本田は攻撃面での結果を出しておく必要がありそうだ。

【了】

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