エンポリのプレスに苦しんだ本田
「ミランはフィジカルコンディションが悪かった? フィオレンティーナ戦では勝って良かったと褒められ、引き分ければ一週間で悪かったとみなされるのか? 確かに今日、我々にはチャンスの際の“悪辣さ”に欠け勝ち切ることができなかった。しかし、このエンポリにドローで終わるのは不名誉ではない。私が見る限り一番いいサッカーをするチームで、その彼らに内容でも上回ったのはユーベを除けばウチぐらいなものだ」
2-2のドローに終わったエンポリ戦後、ミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督はそう強弁した。カウンター狙いのプランだったとはいえ、ポゼッション率は38%。相手を支配して勝つ、というポリシー(だけ)は崇高なシルビオ・ベルルスコーニ名誉会長あたりは腹を立てそうだが、内容は悪くないという手応えは指揮官にはあったのだろう。
本田圭佑を後半41分まで引っ張ったのも、プレー内容には一定の評価をしていたということの表れと解釈することもできる。もっとも前半は、最近の試合ではあまり見られなかったミスやボールロストも散見されのだが…。
前半16分、GKからロングボールを引き出す。空中戦で対面のSBマリオ・ルイには楽々勝利した。ところがその後、右サイドでボールを受け直しキープしたところ、マリオ・ルイに取られる。その1分後にも立て続けにボールをロスト。マリオ・ルイに体を寄せられ中盤の高い位置でボールを失い、そのすぐ後には深い位置でパスを回したところ相手に引っ掛かり、シュートまで行かれた。
エンポリのプレスは激しかった。ボールをキープしようとすればすぐに囲まれて、パスコースも切られてしまう。そういう場合には消え気味になり、しかもボールを奪われるという悪癖も出ていた。このところプレスに耐え、密集地でも正確にパスを叩く本田の姿が見られていただけに残念ではあった。
もっとも、攻撃に絡めなかったのは彼一人の責任ではあるまい。右サイドでフリーのポジションを取りゴール前に走り込んでも、ボールはなかなか来なかった。特に顕著だったのは前半34分、すぐ近くに本田がフリーで走り込んでいながら、エムバイエ・二アンがシュートを放ちミスになったシーンだ。その後彼は本田の方を向き、右手を挙げて謝っていた。