選手の市場価値の推移を分析
現代の欧州サッカー界において、選手が一つのクラブでキャリアを全うする機会は非常に稀だ。ボスマン判決以降、ほとんど全ての選手にとって移籍は避けては通れない道となった。
選手のキャリアを考えるにあたって、移籍先クラブの選定が重要であることは言うまでもない。自身のキャラクターとクラブのスタイルと文化、そして指揮官との相性も考慮しなくてはならない。しかしながら、どのような選手であっても「選手の価値を高めることが上手いクラブ」というものは存在する。
今回は14の欧州主要クラブに焦点を当て、所属選手の市場価値の推移によって「選手の価値を高める力」を測定することを試みる。
分析方法は2011/2012シーズンからの過去5シーズンにおいて獲得した選手の大手移籍情報サイト『トランスファーマークト』による市場価値の推移を調査した。実際の移籍において発生した移籍金ではなく、あくまで市場価値を参照している。そのためクラブの交渉力ではなく、選手の客観的な価値の推移を分析することが可能だ。
本記事では主要クラブの合計収支をまとめ、次回以降各クラブを個別に分析していく。
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