トップチーム初指揮ながら修正力の高さを見せたジダン監督
一方で、各リーグでもトップクラスの力を持ちながら思うような内容・結果を残せていないチームは、この意識が統一されず、守りを固めたい守備陣と攻めたい攻撃陣とで真っ二つに分かれてしまっていることが多い。このような展開では、間に挟まれた中盤の選手は味方のカバーに走るばかりで機能せず消えてしまう。
結果的にチーム全体が間延びし、攻撃も守備も連動性を欠く。ベニテス前監督が率いていたレアル・マドリーもこの状態に陥ることが少なくなかった。しかし、この日のマドリーは守備時にはチーム全体で守る意識を持ち、攻撃時は同じイメージを持ってプレーできているようだった。
単純に考えると、攻撃に比重をおけば守備が弱まり、得点を増やせば失点も増えると思えるが、サッカーは決してそうではない。
チーム全体が守備への意識を高めることでDFにも攻撃参加の余裕が生まれ、その結果、厚みのある攻撃が可能となる。さらにDFラインから前線までが連動して攻撃を続けることで相手を押し込み、守備の機会さえ訪れなくさせることも可能となる。
ベイルやベンゼマ、イスコ、モドリッチといった攻撃に特徴を持つ選手もチームプレーを意識することでマルセロとカルバハルの両SBも高い位置を取り攻撃に絡む機会を多く得られていた。
ベニテス監督の指揮下にあったマドリーは大量点を奪っていながらも内容的には個人技頼りとなってしまうことが多かったが、ジダン監督は初のトップチーム就任でありながら問題点を見出し修正する能力を持っていることを示すことができたといえるだろう。
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