横浜FCなど、Jクラブとの間でも進む業務提携
日本クラブとの提携でいえば、HAGLが昨年末に横浜FCと業務提携を結んでいる。その一環として、HAGLから前述のグエン・トゥアン・アインが横浜FCに期限付き移籍。また、横浜FCからはMF井手口正昭が完全移籍でHAGLに加入した。
フィジカル重視で、大柄なアフリカ系選手が好まれるVリーグで日本人選手がプレーするのは、2003年にサイゴン・ポートに所属した「アジアの渡り鳥」伊藤壇以来のこと。
Jリーグでベトナムのクラブと初めて業務提携したのは、2013年にベトナム1部ドンタム・ロンアンFC(現ロンアンFC)と提携したコンサドーレ札幌。札幌は同年、同1部ソンラム・ゲアン(SLNA)から「ベトナムの英雄」レ・コン・ビンを期限付き移籍で獲得している。この他、親会社同士が共同で不動産案件を展開している関係で、川崎フロンターレもベトナム王者ベカメックス・ビンズオンと協力関係にある。
さらに下部リーグを見てみると、昨年は日系のアミティエSC-HCMCがホーチミン市リーグ(5部相当)に参戦した。関西1部アミティエSCは、ホーチミン市やハノイ市でサッカースクールを展開しており、昨年、ホーチミン・シティFC(旧サイゴン・ポート)を母体としてアミティエSC-HCMCを設立。監督には、かつてアミティエSCトップチームで指導した日本人指導者を招聘した。
このように国外クラブとの提携を急ぎ、貪欲に外国からノウハウを吸収しようとしているベトナムの各クラブだが、その成果もあってか育成年代では、近年、目覚ましい成長を遂げており、今後はベトナム人選手の国外移籍も増えてくることが予想される。ベトナムサッカーのアジア、そして世界への挑戦は、まだ始まったばかりだ。
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