メリーランド大からトロントFCに入団する遠藤翼【写真:Getty Images】
メジャーリーグ・サッカー(MLS)のスーパードラフトでトロントFCから一巡目指名を受けた日本人MF遠藤翼が、クラブによるインタビューで今の心境を語っている。
12歳で全寮制のJFAアカデミー福島に入学し、卒業後はアメリカへ渡って名門メリーランド大学の10番として活躍した遠藤。独り立ちしてから現在まで、これまでのキャリアを支えてくれた両親への思いは非常に強い。
「冬休みで日本に帰った時、両親から『母がドラフトへ行く』と聞かされました。僕は来なくていいと言ったんです。母はとても楽しみにしてくれていたけど、もし自分がドラフトされなければ落胆させてしまいますから」
「でも母は昨日こちらに到着して、今はここにいます。つまり僕のことを信じてくれていたんです。母が隣に座って、日本語で話していたらリラックスできました」
遠藤は愛する母とともに運命の時を迎えた。ドラフト一巡目、全体の9番目で「ツバサ・エンドウ」の名前が呼ばれると2人は立ち上がって抱き合う。下位指名を予想していた本人にとっても「全く準備ができていなかった」ほどの驚きだったという。
1位指名を「本当に信じられない」と語る遠藤は、続けて「僕にとって(アメリカに)順応するのは大変でした。新しい環境に飛び込んで、新しい人や文化に出会った」とこれまでの困難を振り返る。そして「メリーランド大のチームメイトたちやコーチたちは僕がどこにいようと助けてくれました。言葉の問題が最も過酷だったと思いますが、今僕はここにいて、本当に幸せです」と、周囲のサポートに感謝を述べている。
「僕のスピーチはあまりうまくいかなかったけど、母が隣に座っていたことが自分にとって重要だったんです。それは本当に信じられないくらい素晴らしかった」
トロントFCからの1位指名は日本でも大きな話題となった。だが、これまで誰も成し遂げられなかった偉業は、本人の血の滲むような努力と両親からの無償の愛がもたらした賜物だった。MLSでプレーするチャンスを得た遠藤は、”JAPAN”の誇りと愛する両親への思いを胸に新たな一歩を刻もうとしている。
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