「キャプテンをやらなければいけないから指名した」
ファッションに強いこだわりがあり、趣味のひとつは「洋服を買うこと」と屈託なく笑う。ルーキーイヤーから金髪を含めて髪型や色を頻繁にチェンジ。いじられキャラでもあり、気さくで飾らない人柄も手伝って、ファンやサポーターから愛されてきた。
だからこそ、移籍報道が駆け巡った2013年シーズンのオフには、残留を願う横断幕がスタジアムに登場した。キャプテン就任を即決できなかったのは、ベルマーレがJ2を戦った2014年シーズンに関わっていなかったことが引っかかっていたのかもしれない。
高山本人をして「青天の霹靂」と言わしめたベルマーレからのオファーを受けて、異例ともいえる1年での復帰を果たした昨シーズン。高山は無我夢中でピッチで闘い続けた。
もしかしたら、Uターン移籍を歓迎しない人もいるかもしれない。だからこそ、全身全霊のプレーで「ただ純粋にベルマーレでもう一度プレーしたかった」という覚悟を見せるしかない。
Jリーグが昨シーズンから導入したトラッキングデータの集計で、高山は走行距離とスプリント回数の個人ランキングでそれぞれ5位と2位にランクイン。チームごとのランキングで両部門のトップを占めた「走るベルマーレ」の象徴となった。
ただ走るだけではない。7ゴールでチーム得点王となり、素早く自陣に戻っては守備でも体を張った。自らの希望で高山を呼び戻し、獅子奮迅する姿を見守ってきた曹監督が大役を託した理由を明かす。
「どのようなプレーをすれば成長するかということと、キャプテンマークを左腕に巻くということが、(高山)薫にとってはすごく大事でした。そのことによってチーム力が上がってくるという確信があったので、薫にやってもらうことにしました。薫が望むか望まないかは、それほど気にしませんでした。キャプテンをやらなければいけないから、薫を指名したわけです」