FIFAルールでも問われる“5年”
【6】「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと」
日本の政府を暴力で破壊することを企てたりするような者については、帰化が許可されないということです。
以上が、許可のための最低限の条件となっています。もっとも、先に述べた通り、これらの条件を満たしていたとしても、必ず許可されるわけではありません。あくまでも、法務大臣には広い裁量が認められています。したがって、帰化の許可が得られるかは、実際に申請をしてみないと不透明なところではあります。
なお、日本人の配偶者など、日本と一定の関係を有する外国人については、帰化の条件が一部緩和されています。
<帰化選手に関するFIFA規則>
FIFAは、代表の強化のための安易な帰化を防止するため、帰化についての規定を設けています。その基本的なルールは以下の通りです。
まず、複数国籍保持者を除いて、A代表または年代別代表の公式戦に一度でも出場した選手は、その後に国籍の変更や追加をしても、別の国(協会)の代表になることはできません。
次に、複数国籍保持者であっても、(1)一度でも国際Aマッチ公式戦に出場すると、別の国の代表になることはできません。また、(2)A代表ではなく年代別代表の公式戦に出場した複数国籍保持者の選手については、その年代別代表の公式戦の出場時点で既に別の国籍を保持している場合に限り、当該国の代表に一度だけ変更することができます。
さらに、(3)A代表や年代別代表の公式戦に一度も出場していない選手は、他国の国籍を取得し、他国の代表になることができるとしています。もっとも、この場合にも一定の条件が設定されています。
それは、18歳になって以降、その国に5年以上の居住歴を持たなければならないというものです。5年間継続して居住していたかは、この局面でも問題となります。この場合も、諸々の事情の総合考慮により判断がなされるものと思われます。