フットボールチャンネル

本田圭佑 9年前

本田、アシストだけではない貢献度。パス配給と勤勉な守備、フル出場が証明した指揮官からの評価

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

フル出場が証明した指揮官からの信頼

本田、アシストだけではない貢献度。パス配給と勤勉な守備、フル出場が証明した指揮官からの評価
ミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督【写真:Getty Images】

 他のプレーで効いたのはワンタッチパスだ。右サイドを軸に、シンプルにパスを回して周囲の選手とボールを動かし、ポゼッションを演出する。しかもパスは一見無難にボールを離しているように見えて、エムバイエ・ニアンやユライ・クツカ、マッティア・デ・シリオが次のプレーにすぐ移行できるようなコースへ放たれていた。

 また守備でも機能した。左SBガエタノ・レティツィアにしっかりプレスを掛けて、サイド攻撃の仕掛けどころを着実に潰した。前回のリーグ戦での対戦(昨年12月10日)では彼に好き放題オーバーラップをさせ、ペースを握られてしまった経緯がある。そこを精力的な守備で封じ込めたことは、ミランの優勢に少なからず寄与したはずだ。

 味方の上がったスペースのカバーも勤勉にしていた。右SB裏のスペースのみならず、中央のゾーンにも臨機応変にカバーへ奔走し、インターセプトは前半だけで4度成功させた。そんなわけで本田は、1週間で3度先発出場を果たした身であるにもかかわらず、ジャコモ・ボナベントゥーラとともに90分間を戦うことになった。

 これはシニシャ・ミハイロビッチ監督が、保たれていたバランスを評価しそれを崩すことを嫌った証左だろう。「チャンスをたくさん創出した。我われは勝つべくして勝った」と試合後に指揮官はチームを評価した。

 もっともミランもそして本田も、粗がなかったわけではない。チームとしては後半最初の10分に乱れた挙句点を取られている。そして本田は、試合終盤にミスを連発させた。

 左クロスのこぼれ球にファーで反応するも、押し込められなった後半38分、カットインからチャンスをうかがうもボールをロストした43分にはブーイングも上がっていた。記者席からも「このヘタクソ」「お前はスキャンダルだ」などのヤジが飛んでいた。体力の厳しい時間帯でのプレーではあったが、やはりこういったミスを回避しチャンスを作れるようであってほしい。

 良い流れを保って、日曜日の夜にはフィオレンティーナ戦を迎える。ここでもまた、先発としてピッチに立てるかどうか。ウインターブレイクから1週間で3試合。リカバリーもまた重要な要素となりそうだ。

【了】

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!