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ジュニサカ 9年前

U-22日本代表キャプテン・遠藤航が語るプロの道を切り開けたワケ

text by 元川悦子 photo by Getty Images

サッカー人生を左右したDFへのコンバート

 Jリーグの下部組織にいれば、チーム全体に目配りしたり、雑務的な仕事をこなす回数はそこまで多くない。遠藤が10代のうちから湘南というプロチームでキャプテンマークを巻くようになったのも、生来の性格に加えて、多種多様な人間をまとめた中学校時代の経験によるところが大きかった。

 人間的成長とともに、選手としての度量や器も確実に大きくなっていった。中1の遠藤は小学校時代同様にFWだった。2年になってからは4-4-2のトップ下、あるいはボランチに回ったが、その時点までは横浜市のブロックトレセンに選ばれるくらいの「ちょっとうまい選手」でしかなかった。そんな彼の運命が大きく変わったのが、中3でのセンターバックへのコンバートだった。

 大野監督がその経緯を説明する。

「南戸塚中は県大会ベスト8が精一杯で、決して強いチームではなかったんです。中学からサッカーを始めた子もいて守備も弱かった。そういうチーム事情だったんで、航に『後ろで一度、やってみないか』と打診したんです。彼は長距離のキックがうまくて、後ろから組み立てる能力も高かったですから、十分やれるだろうと判断しました。

 本人は『とりあえずやってみます』と素直に受け入れてくれました。小学校時代から高いレベルのトレセン経験があったら私の申し出を拒否したかもしれないけど、そういうことは一切なかった。センターバックというポジションにも意欲的でうまくなりたいと一生懸命だったし、吸収力も高かった。チーム全体を見渡して、サッカー歴の浅い子もフォローしつつ面倒を見ていました。そういう姿勢は本当に素晴らしいと感じましたね」

 初めて挑むポジションを何とかモノにしたいと、遠藤は父が入手した指導者用のテキストを熟読し、チャレンジ&カバーやプレッシングなど守備の原則を一つひとつ頭に叩き込んでいった。センターバックのパートナーは初心者だったが、のちにサンフレッチェ広島ユースに進むことになる185センチの長身GK桜井涼(現立教大学)が背後に陣取っていたことも安心感につながり、日に日にDFとしての能力を高めていった。

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