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日本代表 9年前

6大会連続の五輪出場をかけるU-23日本代表。主将遠藤航の多様性がもたらす厚み

text by 藤江直人 photo by Getty Images

芳しくない下馬評を覆せるか

 遠藤の体に搭載されたユーティリティー性が、五輪をかけた決戦でもチームに厚みを加えようとしている。何よりも遠藤自身にとっても、リオ切符をかけた戦いはリベンジの舞台でもある。

 遠藤が飛び級で招集された2010年と、キャプテンを務めた2012年のU‐19アジア選手権。日本代表はともに準々決勝で敗れ、世界への登竜門となるU‐20ワールドカップへの出場を逃している。

「そのときと比べてもアジアのレベルは上がっていると思うし、もちろん簡単に勝てる相手ばかりではないことはわかっている。

 アジアを突破するためには厳しい戦いが待っていることは間違いないし、だからこそ選手一人ひとりが常日頃の練習からそういう点を見すえながらレベルアップに努めていくしかない」

 決戦の地であるカタールに入った3日夜にインフルエンザを発症。チームからの完全隔離を余儀なくされた遠藤は、5日間の静養を経て9日に復帰。心と体の両面で臨戦態勢を急ピッチで整えてきた。

「いよいよ始まる。いつも通りのプレーができるようにしたい」

 2年前のU‐23アジア選手権オマーンや、韓国・仁川アジア大会でベスト8止まりだったこれまでの結果や、十分にテストマッチを行えなかった強化策の不足。主力選手が所属クラブでレギュラーを獲得できない、という実情も加わったU‐23日本代表の下馬評は残念ながら芳しくない。

 従来のホーム&アウェイ方式から一転、セントラル方式での集中開催となった今回のアジア最終予選は、準々決勝までの4試合をすべて中2日で戦う強行日程を強いられる。

 参加する16チームに対して、アジアに与えられた五輪切符はわずか3枚。グループBを2位以内で突破し、8チームが進む決勝トーナメントで3位以内に入らなければいけない。体力的な不安に加えて、日本が苦手としてきた中東カタールが舞台となったことはメンタル面でも決して小さくない影響を与えるだろう。

 選手の全員が「何よりも大事」と位置づける、北朝鮮戦のキックオフは日本時間13日午後10時半。5大会連続で紡いできた五輪出場の歴史が途切れかねないプレッシャーは、計り知れないほど大きなものだろう。

 それでも、吹き荒れる逆風をすべて受け止めて、遠藤は自らをさらに成長させる4年に一度のヒノキ舞台を目指す戦いに挑む。

【了】

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