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日本代表 9年前

6大会連続の五輪出場をかけるU-23日本代表。主将遠藤航の多様性がもたらす厚み

text by 藤江直人 photo by Getty Images

昨オフは断った浦和への移籍

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2015年は湘南に残留し、A代表にも召集されるようになった【写真:Getty Images】

 リオデジャネイロ五輪出場をかけたアジア最終予選を兼ねる、U‐23アジア選手権カタールの開幕を間近に控えた昨年12月に、サッカー人生において大きな決断を下した。

 ユースから8年間プレーしてきた、愛着深いベルマーレとの決別。2年越しのオファーをもらった浦和レッズへの移籍を決断した理由も、J1の優勝争いやアジアの頂点を目指すACLでの戦いが、自身をさらに成長させると考えたからに他ならない。

 熟慮を重ねた末にベルマーレ残留を決断した2014年のオフ。遠藤に理由を尋ねると、こんな言葉が返ってきたことがある。

「ベルマーレは自分にとって成長できる場所ですけど、だからといってレッズで成長できないと思ったわけではない」

 このときは、やり残したという思いが最終的に上回った。曹貴裁監督のもとで初めてJ1を戦った2013年シーズン。開幕前のタイキャンプで右太ももに肉離れを起こした遠藤は、前半戦を棒に振っている。

 夏場からピッチに復帰したものの、チームはなかなか勝ち切れない。後半戦で喫した11個の黒星のうち、9度が1点差。各方面から「惜しい」という言葉をかけられながら、J2へのUターンを余儀なくされた。

 けがをした自分への怒りにも近い思い思いと、「湘南スタイル」を継続していくことへの手応え。胸中に同居させた、相反する2つの感情がレッズから届いた最初のオファーを断る決断につながっている。

「2013年はもやもやした気持ちがあったし、一方で自分たちのサッカーというものを、たとえ結果が出なくても曹監督がぶれずに貫いたからこそ、シーズンの最後には成長というものも感じられたと思っている」

 ベルマーレとともに自分自身も成長していると確信できた証が、開幕14連勝を飾るなど、異次元にも映る強さでJ2戦線を制した2014年シーズンの軌跡。遠藤は引き続きベルマーレで戦う意義を、チーム全員で育んできた「湘南スタイル」を深化させることに求めた。

「J1昇格やJ2降格をともに経験した仲間たちと、もう一回J1で一緒にプレーしたいという思いが自分のなかにあった。一番の決め手はそこですね。(オファーを断って)残留した覚悟も問われてくると思う」

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