望まれるマスタープランの策定
こういった大一番(あるいは最近のマンチェスター・ユナイテッドの試合)ではありがちだということは差し引いたとしても、日本ではいつもよく目にするタイプの試合だ。
どのチームも同じように持ち味を打ち消し合って、相手の誰かがミスを犯すまでは根気強く同じような攻撃を繰り出すばかり。国内ではその手法が有効かもしれないが、最高レベルのサッカーにおいて効果を表す可能性は極めて低い。
この単調なサッカーこそが、日本代表が2018年ロシアW杯に容易に到達できるという見方にハリルホジッチ監督が疑問を呈している理由ではないだろうか。
「日本が優位に立っていると考えている者は多いが、選手ごとに比較してみれば日本より良いチームもいくつかある。本大会はまだ遠い」と監督は語る。
「攻撃面では、私が想像していた以上になかなかゴールが決まらない。決めるべき時に決めてくれる選手が必要だ。相手が強くなればなるほど得られるチャンスの数は少なくなっていくが、そういう時にこそゴールを決めなければならない。世界のトップリーグで得点ランク上位に名を連ねる日本人選手が全くいないのはなぜだろうか?」
サッカーの世界に足を踏み入れたばかりの頃にその種の能力を伸ばす機会を与えられずにステップアップを遂げてきたとすれば、そこからゴール前での決定力を育むことができると期待するのは難しい。
「Jリーグを向上させる術を考えていかなければならない。日本はブラジルやドイツをコピーするだけではなく独自のアイデンティティを見つけ出すべきだ。
私の頭の中では、選手それぞれの持ち味を引き出せる自分ならではのチームを作り上げる方法を描くことができている」とハリルホジッチ監督は締めくくった。
彼が今すぐに多様な選手たちに恵まれるようになるとは考えにくいし、後任の監督たちにとってもおそらく同じだろう。だからこそ、然るべきマスタープランの策定が望まれるところだ。
【了】