同じことの繰り返し…。容易に予測可能な展開続く高校選手権
日本からは優れたテクニックを持った若手選手が次々と輩出されており、欧州でもアシスト供給役を務めるチャンスを与えられる選手は増えていく一方だ。それ自体は好ましいことでもあるが、代表チームにとっては理想的とは程遠い。11人のサイドバックや10番だけで強力なチームを構成することはできないからだ。
足元のボール扱いの技術に重点が置かれすぎているように感じられることも多い。必ずしもその分野で飛び抜けた才能を必要とするわけではないセンターバックやストライカーなども含めてのことだ。
華麗なボールタッチを持っていない選手がユースレベルで落第扱いされる結果として、中央の重要なポジションに選手が不足することになってしまう。
先日の高校選手権においてもそれは顕著であり、成功を収めたのはいずれもボゼッションに秀でたチーム、意外性のあるウイングや俊足ゲームメーカーを擁するチームだった。
だが、粗野で屈強なDFや前線からチームを牽引するようなストライカーはどこで見つけられるのだろうか?
一例として、國學院久我山高校は青森山田高校との準決勝に2-1の勝利を収めはしたが、原山海里によるロングスローがエリア内に放り込まれるたびに守備陣は完全に混乱に陥っていた。
2015年王者の星稜高校は、東福岡高校に0-2で敗れた試合で54分になるまで枠内シュートを放つことができなかった。
決勝では東福岡が最終的に5-0の大勝を飾ったとはいえ、2点目のゴールにより久我山がリスクを背負って攻めに出ざるを得なくなるまでは、試合のほとんどが中盤の3分の1のエリアで展開されていた。
観客席から響きわたる統率されたチャントと同様に、プレー自体も同じことの繰り返しで容易に予測可能なものであることがほとんどだった。
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