スペインの指導者講習で教えられる原理原則
スペインサッカー連盟のナショナルコーチングスクールのダイレクターで、ルイス・エンリケが指導者ライセンスのコースに通っていた際に、戦術の講師を務めていたマリアーノ・モレーノは、ピッチ上で正しい改善をするための重要な基礎として、受講生たちには戦術コンセプトの定義を常に覚えていてもらいたいと考えていた。
そのため、彼は授業の最初の数時間、必要な回数だけコンセプトの定義を繰り返すことに専念している。「戦術とは何なのか?」、「プレーにおける攻撃、守備の原理原則は何なのか?」、「戦略とは何なのか?」、「システムとは何なのか?」、「システムのバリエーションとは何なのか?」といった問いかけを何度も繰り返すのだ。
UEFAライセンスのコースを受ける生徒たちというのは、少なくともプロサッカー選手として1部で8シーズン以上のキャリアを積むか、A代表として最低5試合に出場するか、オリンピック代表として金メダルを獲得しているわけで、彼らはすでにそういった各コンセプトが意味するものを知っている。
しかし、「多くの小麦が収穫できれば、それは決して悪い年ではない」と言うように、彼は丹念に一つ一つの定義を受講生たちに覚えさせた。
マリアーノ・モレーノのテキストには以下のような定義が記載されている。
戦術(tactica)とは「チームがプレーの中でボールを用いて相手を攻撃するために、そして相手の攻撃を無効化するために使う、攻撃や守備の原理原則を集めたもの」であり、攻撃の原理原則(攻撃、カウンター攻撃、フリースペースの創造、マークを外す動き、プレーのコントロール、プレーのリズムなど)と守備の原理原則(マーク、カバーリング、ペルムータ《※カバーリングをする選手のカバーリング》、サポート、デスドブラミエント《※攻撃参加する味方選手が空けたスペースを埋める動き》、プレッシングなど)がチームのプレーする形を決める。