本田が目指すべき道は…
それでは、本田がミランの主軸として信頼を確立する方法はないのだろうか。
筆者が考える唯一の選択肢は「センターハーフ」へのコンバートだ。
前述した「背番号10番に求められる決定的なプレー」という本田の問題点、具体的には、トラップを向上し、判断スピードを速め、ゴール前の狭いスペースで相手DFのプレッシングをかわしながらプレーするという能力は、一朝一夕で身につくものではない。
少なくとも、本田がこれからセリエAもしくは欧州のトップリーグでアタッカーとして確固たる地位を築くことは非常に難しいことであると言えるだろう。
一方で、本田の持つ「視野の広さ」「正確な長短のパス」「献身的な守備意識」「スペース管理の感覚」といった能力はアタッカーではなく司令塔として高い評価に値するレベルに達している。
トップ下もしくはウイングからサイドハーフへコンバートを果たした選手は数多く存在し、クラウディオ・マルキージオ、バスティアン・シュバインシュタイガー、ライアン・ギグスといった選手たちが、コンバートによって評価を高め、決定的な選手であり続けた。
実際に、今季も序盤戦では本田は時折センターハーフまで下がる戦術的なトップ下としてミハイロビッチ監督の信頼を獲得していた。現時点ではセンターハーフに必要な守備戦術を全て身につけているわけではないかもしれないが、成長の可能性に懸ける意義は大いにあるだろう。
ミランに加入して以来、不得意なポジションでのプレーを強いられ続けている本田。果たして、自らの能力を最も輝かせる役割を発見することはできるのだろうか。
【了】