中盤を引き締めたクロースの献身的姿勢
これまで、ラファエル・ベニテス監督に率いられたマドリーの問題点はチーム全体の共通意識が確立されていなかったことである。サイド攻撃なのか中央突破なのか、守るのか攻めるのか、誰が守って誰がゲームを作るのか…。11人がチームとして戦うために最も必要なことが欠けていた。
新生レアル・マドリーは、その点において大きく改善されていたといえるだろう。
まず最大の問題点だった中盤の守備。これまでは主にアンカーで起用されていたトニ・クロースがそれほど守備に意識を向けていなかったため、インサイドハーフのモドリッチが守備へのカバーに走らざるを得ない状況となっていた。この2人を横並びに起用した際にも、決め事がないといえるほどに守備の秩序は乱れていた。
しかし、この日アンカーで先発したクロースは明らかに守備への意識を高めていた。繰り出したタックル数8回は両チームトップの数字であるとともに今季の自身最多。これまでは2回や3回、少ない時は0回ということもあったほどであり、これは大きな変化となっている。
さらに、インターセプトとクリアを合わせたディフェンシブ・アクションは4回。これも今季の自身最多であり、これまでは1試合平均2回だった。
このクロースの献身的な姿勢によって、マドリーの中盤は格段に引き締まり、チーム全体の強度が上がっていた。まだまだチーム発足から日が浅いため、DFラインを高く保てなかったが、それでも中盤がまとまっていたことによってチームが分裂せずに1つの方向を向くことができていた。
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