五輪は狭き門。出場は“挙国一致”の総力戦に
残念なのが、飛び級ながら五輪代表でも充分にその実力を発揮してきたもう一人の若き天才MFダニエル・ダシルバ(18/ローダJC)。所属のローダがその派遣を拒否したことにより最終メンバーから外れることを余儀なくされた。
これは裏を返せば、今年8月に加入したエールディビジのクラブで“10番”にふさわしい活躍を見せ、早々に信頼される選手としての地位を勝ち得た証。現在15位と低迷するローダのチーム事情を考えれば、正直やむを得まい。
彼の代わりに選出されたブレンダン・オニール(21/シドニーFC)も、今季のAリーグで出色の活躍を見せており、大きな戦力ダウンにはならない。
ここまでで挙げたイコノミディス、アミニなどの豊富な人材が揃う中盤を含め、今回の攻撃陣は楽しみなメンバーが揃った。
前線には、2013/14年シーズンに史上最年少でAリーグ得点王に輝き、イングランドのフルハムに移籍したアダム・タガート(22/スコットランドのダンディー・ユナイテッドにローン移籍中)、現行のAリーグで6得点と得点王争いに絡む活躍で大ブレークを果たしたジェイミー・マクラーレン(22/ブリスベン・ロア)など得点力のあるFWが揃い、それぞれがアジアの舞台での大爆発に腕を撫す。
23名中の過半数を超える12名がAリーグ所属選手となった今回のオリルーズ。そのほとんどが各クラブのレギュラークラスということもあって、事前合宿を含めればひと月近くも主力選手を送り出すことになる各クラブのサポーターには複雑な感情も残る。しかし、「16分の3」という非常に狭き門を何とかくぐるには、それこそ“挙国一致”の総力戦が必要になる。
前回のロンドン五輪出場を逃した豪州にとって、リオ五輪の出場権は悲願。23名の若武者が五輪出場権を勝ち得ることは、豪州の新たな“黄金世代”となる可能性を秘めた彼らがその存在感を世界の舞台でアピールする絶好の機会を得るということ。それだけに、豪州サッカーにとっては非常に大きな意味を持つ大会となる。
さて、来月の今頃には日本と並んでの豪州の五輪出場権獲得を当稿で伝えられるだろうか。
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